明日は明日の風が吹く・70代日々の綴り

(月の雫・・・)からのブログ名変更してます)

今更になって生きてる意味を考えても仕方がない
今、生きてる事が重要
来るであろう明日、来ないかもしれない明日
人はそう言う薄氷の上で
毎日を過ごしてるのだと思う
だから、今日が大事、今が大事
明日は明日の風が吹く

水の星

茨木のり子さんは大好きな詩人の一人です。
ご本人の写真を見た時の衝撃!(笑)
素晴らしくお洒落で美人でした。



「水の星」  茨木のり子


宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ


生れてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真


こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひとは
線引きできるほどの意識の差が出る筈なのに
みんなわりあいぼんやりとしている


太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星


すさまじい洪水の記憶が残り
ノアの箱船の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって怪しい


軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
いのちの豊饒を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が
ゆえなくさびしいのもあたりまえで
あたりまえすぎることは
言わないほうがいいのでしょう




あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう

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