明日は明日の風が吹く・70代日々の綴り

(月の雫・・・)からのブログ名変更してます)

今更になって生きてる意味を考えても仕方がない
今、生きてる事が重要
来るであろう明日、来ないかもしれない明日
人はそう言う薄氷の上で
毎日を過ごしてるのだと思う
だから、今日が大事、今が大事
明日は明日の風が吹く

小説「あなたの人生、片付けます」

垣谷美雨さんの小説を読み終わった。
オムニバス形式の中身なので、読みやすい事もあるが
内容が面白過ぎて一気に読んでしまった。
思い当たる事が満載で納得しながら読んだ。


この中に出て来る6年前に妻を亡くしたやもめ暮らしの
男性の話がある。
妻が生きてた時には、全く家事も何もしたことがない
いわゆる今時の男性で、時々通って来る娘が
何でもかんでもしてくれるのをいいことに
家事を全くしてこなかった。


ついに娘は片付けの専門家に頼む。
この片付けの専門家が普通一般的に居る人とは違う。
この中で、妻の物を捨てる事もせず
どこもかしこも妻の物であふれている。


これを片付け人は、じんわりと夫に話すのだが
ようやく夫は妻の遺品を整理しようと思い立つ。
その時に夫が話した内容。
「母さんの物をいつも目にするのは辛かった・・・」


この部分を読んで自分を振り返った。
私は夫が亡くなったあと、家中にある夫の物を見るたび
思い出しては辛く哀しくてやりきれなかった。
そして突飛な行動に出た。
少し精神がおかしかったんだろうと思う。
夫の物を次から次へとゴミ袋に入れて捨てたのだ。
家でも一番大きめのドレッサーには
全部夫の背広やネクタイなどがぎっしりと詰まっていた。
スーツの上下、ブレザー、普段着、ゴルフ用などが山のようにあって
その上ネクタイは100本以上あった。
夫はおしゃれ好きで入院しても病衣は借りずに
自前のパジャマを着ていたが、
そのパジャマも好きなブランドのものしか着なかった。
亡くなった後には袖も通してないパジャマが何着も残っていて
それは全て兄弟や義姉の旦那さんに使って貰った。


形見分けとして数枚は友人に差し上げたが
その他は全て処分した。
毎日毎日、ゴミ袋に夫の物を詰め込み
ゴミ出し日に出すと言う繰り返し。
見かねて子供が「そんなに急いで処分しなくてもいいんじゃない?」とまで
言って来たが聞く耳を持たなかった。


結局残ったのは、最後まで来ていた久留米絣の
パジャマの上に羽織っていたものと
後は眼鏡やライター、キーケース、財布などの
わずかな物だけ。
運転免許証も本当は返納しないといけないらしいが
まだお財布の中に入ったまま。


石のついたネクタイピンなどは
全て私の装飾品に作り直して
跡形もなくなった。


それが全て済んでから何年が経っただろう?
ふと我に返って振り返った時、
ものすごい後悔が襲った。
いうに言われない激しい絶望と後悔。
そして私は2度目の鬱を患った。


通っていた精神科の先生は
その事を予期してたようで
「つらかったね」と話してくれた。
「しかたがないよ、あなたはご主人の残したものを
目にするたびに辛かったんだし、
その時はその時の行動を責めてはいけない。
そして、今とても後悔してる事も責めてはいけない。
あなたが好きなように生きる事をご主人は
望んでるんだから、あなたを責めたりしないよ」と
何度も何度も言われ続けてようやく暗い場所から抜けた。


亡くなった人の物を捨ててしまう人、
何も捨てずにちゃんと残して置く人、
それぞれ色々違うだろう。
私は、本当につらかった。
そばで見てた子供たちは
「あの時のかあさんは本当に狂気だった」と今もたまに話す(笑)
余りの異常さに、止めることが出来なかったと・・・(^_^;)


しかし後悔先に立たずと言うが
今さら後悔しても、夫の物が戻る訳ではないのだから
もうそれを後悔はしないでおこう。
嫌というほど夫の仏前で夫に謝ったから
夫も多分許してくれてるかも????
薄情な奴だ!と今も怒ってるかもしれないが
その答えは私が旅立って再会した時に聞いてみよう(*^。^*)


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